底地所有者が直面する悩みとしては「底地が戻ってこない」ということが挙げられます。
よくある悩みとして3つのケースを紹介します。
よくある悩み1
「土地を貸して欲しいのになかなか返してもらえない!」
底地権は、長期の契約期間が予定されており、かつ借地法(借地借家法)により借地権者保護が図られています。 たとえ長期間の契約期間が満了したとしても底地権者が土地を返還してもらうためには「正当事由」が求められ、底地権者が当該土地を必要とする事情、借地人への立退き料の支払い等の相当性が必要となり、借地料の支払や更新料の支払など従前契約経過を加味して判断されることとなります。 その結果、所有者が一旦土地を貸すと半永久的に戻ってこない、という悩みに直面することとなります。
★対 処 法
仮に借地権者が借地料の支払を滞納するなどした場合や、借地権者が底地権者に無断で建物を建て変えてしまったといった事情がある場合には、債務不履行があるものとして、「正当事由」の要件を回避し、借地権者に対して底地の明渡しを求める方法が考えられます。
よくある悩み2
「昔の安い借地料のままで数十年。収益性が低くて困る!」
底地権は、長期の契約期間が予定されており、かつ、借地法(借地借家法)により借地権者保護が図られています。 これらの交渉を怠ると、ただでさえ収益性の低い底地の価値が低いままの状態で半永久的に継続してゆくこととなってしまいます。 ・底地の固定資産税が上昇した
・底地の時価が上昇した
・近隣相場と比較して借地料が低くなった
などの事情が生じた場合には速やかに借地権者と交渉して借地料を増額してもらう必要があります。 しかし借地権者の権利意識が高まっている昨今、借地権者が素直に借地料の増額に応じることはなかなかありません。
★対 処 法
交渉が決裂した場合には、底地権者としては借地料増額調停を簡易裁判所に申し立てる必要があります。調停が成立すれば借地料が増額されることとなります。
また仮に調停が成立しない場合には、底地権者は地方裁判所に借地料増額訴訟を提起する必要があります。訴訟では不動産鑑定士による鑑定などが行われ、判決により適正賃料が決定されることとなります。
よくある悩み3
「現金の代わりに相続税を底地で物納したいのにできない」
底地所有者が直面する悩みとして、借地人との間で契約書等を作成していない結果、
・期間の定めのない契約とみなされ長期間の賃貸が予定されること
・その間に相続等の代替りにより借地権者が一体誰なのかが把握しきれなくなること
といったことが挙げられます。
また契約書が存在していたとしても古い契約書の場合には、測量技術が未発達であったことから実際の面積とは乖離が生じている場合もあり得ます。 借地権者が不明であるといった場合には物納用資産とは見られず、いざという時に役に立たないことがあります。
★対 処 法
まずは借地人との間で契約書等を作成しているかどうかを確認しましょう。もし、契約書が存在していない場合には借地権者がだれなのか、隣接する土地との境界線はどうなっているのかなどを調べて必要に応じて測量を行うなど必要事項を整理する必要があります。
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