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執筆者の写真Takeshi Nasu

相続税評価額のリスク ~底地の相続後に後悔しないために~

更新日:2018年3月7日

底地の相続にあたっては、相続税の評価額がいくらになるかは気になるところです。 また相続税を現金で用意できるのか、現金で用意できない場合はどうすればいいのか、という点についても把握しておくとよいでしょう。

ここでは底地の相続税評価と地代、物納について解説します。


■底地の相続税評価について

土地の評価については

 ・帳簿価格

 ・路線価

 ・固定資産税評価額

 ・時価

という評価基準があります。これらのうち底地の相続税評価は路線価を基準とし、一般的には敷地の面積×路線価×借地権割合の計算式で算出されます。

※路線価と借地権割合は国税庁のHPで調べることができます。 借地権割合は地価に比例する関係にあり、

 ・商業地域では70%~80%

 ・ 住宅地域では50%~60%

程度が一応の目安となります。 例えば、

 ・敷地面積500平方メートル

 ・路線価50万円/平方メートル

 ・借地権割合の60%

である場合、底地の相続税評価額は1億円(500×50×(100%-60%))となります。



■相続税の支払いにあたって

相続税の支払にあたっては、相続する底地の地代について考える必要があります。 また相続税の評価額と地代および底地にかかる各種の税金などに必要な額とともに、現金での納税ができない場合に物納という方法でまかなえるかどうかについてもあらかじめ把握しておくほうが安全です。


■地代

底地の場合、一般的には地上権または賃借権設定されたのち長期間が経過しているものが多く、地代も設定当時の低い水準に抑えられており、且つその状態が今後も長期間継続することが予想されます。 また境界が不明確であることが多く、譲渡の際には測量費など境界確定のための費用が必要となります。

さらに底地の固定資産税・都市計画税等は底地権者の負担となります。 したがって、底地は必ずしも収益性が高くない不動産といえます。

例えば、

 ・敷地面積500平方メートル

 ・路線価50万円/平方メートル

 ・地代が一坪1000円

である場合、年間収益は180万円程度となるのに対して、仮に固定資産税・都市契約税が地代収入の20%とすると、底地権者の手元に残るのは年150万円程度となり、相続税評価額の約1/60と僅かとなってしまいます。


■物納

物納とは延納によっても相続税を金銭で納付することが困難な場合に納税者の申請により、その納付が困難である金額を限度として金銭以外で納付することをいいます。


例えば、相続財産が敷地面積500平方メートル、路線価50万円/平方メートル、借地権割合60%の底地のみであり、且つ相続人に相続税を納付するだけの現金に乏しい場合には、相続人は相続税を現金で納付する代わりに底地を納付することとなります。

ただし平成18年以降、物納不適格財産が明確化され物納が認められるための要件が厳格化されています。

具体的には

 ・境界が明確でない

 ・借地契約の内容が地主に著しく不利である

 ・地代が近隣の相場から比べて著しく安い

 ・地代の滞納がある

などの場合には物納不適格財産として物納が認められないこととなります。


このような状態ではいざ相続が発生した場合に相続税を金銭で支払うこともままなりません。かといって底地を物納することもできず、八方ふさがりの状態に陥ってしまいかねません。


★ポ イ ン ト

相続税の評価額によってはそもそも、地代や物納でも対応できないリスクもあります。相続にあたって事前に相続税の評価額を確認したり地代や物納で対応できるのか、また様々なリスクに対処する対策方法がないか事前に専門家に相談しておきましょう。

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